2020年春アニメ終盤レビュー

どうも、ワンダです(誰だよ)。

 

遅くなりましたが2020年春アニメについてのレビューを書いていこうと思います。

 

波よ聞いてくれ

春アニメで一番好きだった。ラジオパーソナリティを主人公として会話劇の面白さが存分に発揮された快作である。あのセリフ量を驚異的な滑舌で喋り倒す主人公ミナレ役の杉山里穂には敬意を表するばかりだ。なんで飯屋でバイト?なんで舞台が北海道?そもそもなんでラジオやってんだ?といった作中の些細な疑問点が最終回で一箇所に収斂する様は圧巻だった。人は言語によって思考し、言語によって繋がり、言語によって生きる、その体現がここにある。10点

 

BNA

諸星すみれ主演trigger制作という信頼感の半端ない布陣ではあったが、物語展開は予定調和であり、内容面では今ひとつ物足りないように思った。それでも最終回に向けての盛り上がりは安心して楽しめ、エンタメとしてはまずまずの面白さに仕上がっていたと思う。みちるは獣人化してしまったこと以外は極めて普通の女の子だが、天才諸星すみれの演技力がその等身大女子の造形を完璧に捉えていて見事だった。また、本来難しいとされる動物作画をあそこまで動かせるのは流石のtriggerクオリティである。8点

 

イエスタデイをうたって

心臓をえぐられるような、徹底して繊細に若者の生活と恋愛を捉えようとする姿勢には感服した。もはや達人芸の領域に至っている谷口淳一郎のキャラクターデザインを中心に、動画工房の安定した描写力が細かなシーンの一つ一つに説得力を与えている。こういうアニメが時たま生まれるところに、深夜アニメの可能性があると思う。8点

 

かくしごと

高橋李依演じるひめが可愛いことに尽きる。懐古感を漂わせるEDを含め、ある程度年齢の高い層にも届くように作られていると感じた。子供たちはすでに思春期真っ盛りで反抗的、妻との関係も倦怠期に入り、夜中に寂しく帰ってきたおじさんサラリーマンが、ふとテレビをつけたら有り得たかもしれない娘との和やかな生活が画面上に描き出されているのを観て、なんだかホッコリする。そんなアニメだろう。7点

 

プリンセスコネクト!Re:Dive

やってることは監督的にもこのすばなのだが、このすばがギャグに終始しているのに比べて、こちらは心なしかストーリーを意識しているように思った。そのため、美食殿のメイン4人の関係性を主軸にしているのは理解できるのだが、謎めかしていた敵の正体は最後まで不明のままだし、若干消化不良でしっくりこないところも少なくなかった。良くも悪くもキャラクターアニメであり、ゲームをプレイしている人には刺さるものもあるのかもしれないが、そのキャラクターも大量に登場するためゲームに触れていない自分としては性格などを追うのに苦労した。続編があるようなのでそちらも観た上で総合的な判断を下したい。6点

 

攻殻機動隊SAC_2045

神山健治攻殻機動隊を撮るのが上手いと改めて思った。政治的なニュアンスを物語に綺麗に落とし込んだ上でドラマチックに展開させていく手腕は流石の一言。当初より懸念されていた3DCGによる映像も、タチコマなどすでにCGで描かれていたキャラは勿論、素子をはじめとさる公安9課の面々の描写も違和感がなく、むしろ3DCGとの相性が良いとさえ思えたのは本作がSF作品としてハードな世界観を構築していることの証左と言えよう。続編を期待させる最終回の引きも良かった。9点

 

乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった

悪役令嬢、すなわちメインヒロインではない存在を主人公とすることで、男女問わずどのキャラクターとも対等な交友関係を結べるようにした設定は巧みだと思った(結果メインヒロインをも攻略するのがまた面白い)。登場人物は皆性格が良い上に次々と攻略されていく様はストレスゼロで観ていて清々しさすら覚える。個人的にangelaが好きなので、OPにおいてangelaの新たな側面を堪能できたことも嬉しかった。8点

 

本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第2部

第1部から続き、すごく王道で面白い。スタッフキャストともにキャリアのある人が多く安心感がある。商人として磨いた交渉力と人脈、そして前世の知識を神殿でも駆使して政治的な立ち回りを演じるのはまさに下克上という感じで楽しい。諸星すみれのOP「つむじかぜ」が素晴らしいのは言うまでもないだろう。第3部にも期待したい。9点